ヴァイキングの女戦士
10世紀初めの文献によれば、インゲン・ルーア(赤い娘)という
女性戦士が、ヴァイキングをアイルランドへと導いたとされている。
また、ヴァイキングの物語の多くには「盾を持った乙女」が登場する。
上記のことは、戦士が男性だけではなかった可能性を示しているが、
単なる神話的脚色に過ぎないと考える考古学者も多かった。
スウェーデン南東部にあたるビルカに葬られた戦士は、これまで男性
であると考えられ、ビルカにある墓に埋葬されているのは男性であると、
教科書にも記されていた。しかし、研究者が遺骨のDNAを解析したところ、
この戦士は女性だったことが判明した。
以前、ストックホルム大学のアンナ・シェルシュトレーム氏が、
遺骨の骨盤と下顎の寸法を根拠に女性説を発表した際には、
別人の骨が混ざっている可能性がほかの考古学者から指摘されていた 。
今回は、それをふまえてのDNA解析であり、被葬者のミトコンドリアDNAを
解析することによって、反論を試みたとのことだ。解析の結果、遺骨から
最新版レッドリストの公開
国際自然保護連合(IUCN)は「レッドリスト」の最新版を発表した。
世界の8万7967種を評価し、そのうち2万5062種を絶滅危惧種とした。
アンテロープやトネリコなどは、広く分布しているため、比較的安全
だといわれていた。しかし、そのような種でさえ絶滅の危機に直面して
いるとのことだ。
これまでは「軽度懸念」だったが、「絶滅危惧2類」へ悪化した。
そのほかにも、リーボックが「準絶滅危惧」になるなど、
5種のアンテロープで絶滅リスクが高まった。
北米に広く分布したトネリコ5種は「絶滅危惧1A類」になった。
外来種のタマムシの食害で枯死していることが影響しているとのこと。
また、オーストラリア・クリスマス諸島固有のアブラコウモリの
仲間の1種は「絶滅」と判断された。絶滅の原因は、外来種による
捕食や病気などが可能性として考えられる。
空気より軽いエアロアイス
岡山大学は、通常の氷よりも密度が低い氷の結晶構造について、
分子シミュレーションを実施した。その結果、安定な結晶構造が
存在することや、「エアロアイス」の密度には下限がなく、
空気よりも軽い氷も作りうることを発見したとのこと。
氷を圧縮すると、だんだん密度が高くなり、次第に結晶構造が変化する。
冷凍庫でできる氷は氷I(0.92 g/cm3)で、雪と同じ六角形の分子配列を持つ。
これに2000気圧を加えると氷IIIに変わり、約4000気圧で氷Vへと変化し、
約6000気圧で氷VIへと構造が変化する。現時点では、氷Iより高密度な
結晶は13種類見つかっている。
負の圧力で氷を伸長した場合でも、氷の構造は変化すると
考えられており、氷Iよりも密度の低い氷は2種類発見されている。
負圧の氷構造を実験で調査することは極めて難しいため、
今回の研究においては、氷と幾何構造が良く似た「ゼオライト」
という酸化ケイ素無機結晶の構造をもとに、氷の構造を設計し、
分子シミュレーションで安定性を評価し、網羅的に調査した。
調査の結果、ある種のゼオライトの構造をもとに設計した氷は、
現時点で発見されている低密度の氷よりも密度が低く、安定に
なりうることが判明した。また、さらに低密度な氷も存在する
可能性もあるという。
この氷の構造は、「エアロゲル」と呼ばれる酸化ケイ素素材に似ている
ことから、「エアロアイス」と名付けられた。エアロアイスの密度は
0~0.5 g/cm3程度まで低くすることができ、「100xFAU」という
エアロアイス結晶の密度は空気よりも軽くなるとしている。
日本の人的資本指数
世界経済フォーラムは2017年の「人的資本指数」を発表した。
この指数は、それぞれの国がどれだけ健康で教養のある人材を
育成して維持できるかを示している。
www.nikkei.com日本は、調査対象130カ国のうち17位で、前年の4位から急落した。
主な原因としては、算出方法が変わって「雇用の男女格差」の
比重が上昇したことであり、女性の社会進出が遅れている日本に
不利に働いたからのようだ。
今回のランキングで重視された「雇用の男女格差」を年齢別に見ると、
日本は15~24歳に限れば「世界で最も平等」だが、25~54歳では69位、
それ以上の年齢枠でも50位以下にとどまっている。
算出方法の変更で人口構成の違いも大きく影響するようになり、
高齢化が進む日本は順位が大幅に低下した。
金細工職人の墓の発掘
メタンに依存する地底生態系
微生物生態系が存在するということを明らかにした。
深度300メートルの地下水を採取し、地下微生物の生態系を調査した。
調査の結果、光合成由来の有機物がほとんど含まれないにも関わらず、
とのことだ。さらに、微生物の全ゲノム解析を実施したところ、
メタンをエネルギー源とする微生物が主要な生態系の構成種で、
硫酸で呼吸して硫化水素を生成していることも明らかとなった。
メタンは花崗岩を形成したマグマに含まれていたもので、
生態系は光合成由来のエネルギー源に依存していないと判断される。
今回の発見は、マグマ由来のメタンが硫化水素を生成することから、
放射性核種の移動を抑制する地下水水質が形成されていることも
地層処分の安全性が高められることも期待される。
医療の地域偏在問題と解消
全国自治体病院協議会など5病院団体は、医師の地域偏在問題の
解消に向けた提言書を、厚生労働省に提出したと発表した。
提言書では、病院や診療所の管理者になる条件として、不足地域で
一定期間勤務するように提案している。また、国の責務を明確にし、
関係省庁が協力できるように検討の場を設置することを求めた。
偏在問題の対策案は、厚労省の有識者会議が年内にまとめる予定。
ちなみに、医療の偏在については、「西高東低」の傾向がみられる。
たとえば、人口10万人あたりの病院ベッド数は、
西日本よりも東日本(東京都や千葉県を含む)が少ない。
人口あたりの看護師数なども極端に偏っている。
なぜ西日本は東日本よりも医療が充実しているのかと言えば、
もともと医学部が早くから設置され、医療機関数も多いことが理由だ。
西日本の医療機関はベッド数に余裕があるため、軽い症状の場合でも
入院治療を勧めやすい。そのため、1人あたり医療費も高止まり
しており、年齢調整後の1人あたり医療費も西高東低の傾向がある。
また、看護師の偏在については、2006年度の診療報酬改定で
「7対1入院基本料」が導入されたことによる影響が大きい。
これは、入院患者7人に看護師1人以上を配置している病院に対して、
一患者あたり一日1万5550円を診療報酬として支払うというものだ。
この「7対1入院基本料」の導入により、看護師争奪戦が始まり、
看護師を確保できなかった病院は病床を閉鎖しているのである。
2016年度の改定で「7対1入院基本料」の基準は厳しくなり、
「10対1入院基本料」への移行も進められてはいるものの、
大半の医療機関は7対1のまま運営しているのが現状である。
さらに高まるため、効果的な対策案を考え出すことが急務である。