シンガポールの省エネ建築
シンガポールは、熱帯に位置するため、エアコンなど
によるエネルギー消費量が非常に大きい国である。
その大きさは国の全エネルギー消費量の約4割も
占めているので、近年、政府は省エネ建築の推進に動いている。
具体的な施策を1つ挙げると、
「グリーンマーク」というものが存在している。
これは、建物の環境性能は4段階で評価するものであり、
延べ2000平方メートル以上の新築ビルに取得が
義務付けられているものだ。
建物はプラチナ・ゴールド+・ゴールド・認定で格付けされるが、
地域によっては格付けによって建設が制限される場合もあるので、
より高い環境性能を実現するためのインセンティブとしても
グリーンマークは機能するのである。
では、このグリーンマークでいい評価を得るために、
どのような建築様式が考え出されたのであろうか。
例えば、南洋理工大学の新校舎「ザ・ハイブ」は
グリーンマークでプラチナの認証を取得した建物であるが、
この校舎は独自の換気システムを有している。
ザ・ハイブのコンクリート外皮には、内部を冷たい水が流れる
特殊な金属管によって教室内の温まった空気を取り込んで
冷やすという仕組みの、輻射冷房設備が組み込んであるのだ。
この設備で冷やした空気は床面から排出され、
対流を活用して効率よく教室を冷やせるようになっている。
また、教室から排出された空気はアトリウムへと流れ、
屋上部の隙間などから外部に抜けていくようになっている。
ちなみに、アトリウムは上層に行くほど狭くなっており、
煙突効果によって換気性能を向上しているようだ。
以上の仕掛けによって、空間を涼しく保っているのである。