エクソソームの若返り
東京医科大学は、エクソソームを若返らせることで、
血液がんの一種である多発性骨髄腫のがん血管新生を
抑制できると発表した。
多発性骨髄腫は、高齢者に多い血液のがんで、近年増加している。
エクソソームは骨髄間質細胞によって分泌されるが、
健康人の場合、この骨髄間質細胞にはがん細胞の抑制効果が
あるとされている。また、その効果については加齢による影響が
あるといわれていた。
今回の研究では、多発性骨髄腫に対するエクソソームの効果を
調べるとともに、骨髄提供する人の年齢によるエクソソームの差を
明らかにしようと試みている。
若年者と高齢者双方の骨髄間質細胞でエクソソームのがん抑制効果の
違いを検討してみると、高齢者エクソソームのがん抑制効果は
若年者エクソソームに劣ることがわかった。
さらに、若年者エクソソームのがん抑制効果は何故優れているのかを
明らかにするために、385個のマイクロRNAについて検討した結果、
若年者エクソソームには特定のマイクロRNAが多く含まれていることも
わかった。
以上の結果をもとに、高齢者エクソソームにマイクロRNA類似体を
直接導入して「エクソソームの若返り」を試みたところ、
導入するマイクロRNAによっては若年者エクソソームと同程度の
がん抑制効果が得られたようである。
ちなみに、若年者由来の健康人の骨髄間質細胞を培養すると、
大量に分泌されたエクソソームを回収でき、そのまま投与することで
血管内皮細胞の増殖を抑えられるとのこと。
また、高齢者由来の骨髄間質細胞を培養した場合でも、
改変エクソソーム作製手法を用いてマイクロRNAを補充して
エクソソームを若返らせてから投与すると、若年者エクソソームと
同様の血管内皮細胞抑制効果がみられるようだ。