ヤシオウムはリズムを刻む
オーストラリアに生息するヤシオウムは、人間以外で唯一
自作の道具を使ってドラミングを行う動物だという。
チンパンジーなども棒と丸太でドラミングを楽しむことはあるが、
演奏のために道具を自作するような行動はとらない。
オーストラリア国立大学のロバート・ヘインソーン氏の研究によれば、
ヤシオウムたちの演奏は、繰り返しのパターンや一定のビートなど、
極めて予測しやすいリズムを刻んでいることがわかったとのことであり、
すべてのオスが独自の音楽スタイルを持つこともわかっている。
また、演奏をはじめたときには近くにメスがいる場合が多く、
歌や頬の紅潮を組み合わせていることも確認されているので、
このドラミングはメスへの求愛行動であると考えられるが、
メス側にリズムを認知する能力があるかはまだ不明。
そのため、不規則なリズムと規則的なリズムに引き付けられるか
などに関しては検証の余地が残っているようだ。
ヤシオウムのドラムには独演という特徴もあるが、
この特徴に対してヘインソーン氏は、
「純粋に個体の求愛行動として進化したのでは」と予想している。
ちなみに、人間が打楽器で一定のリズムを刻むという能力を
どのように獲得したかは長年の研究テーマとなっており、
チャールズ・ダーウィンも「人が先天的にリズムを好む」ことは
指摘していた。