韓国政府の税制改正案
韓国政府は税制改正案を発表した。富裕層や大企業への課税を
強化する一方、所得が少ない層への支援を増やす。
韓国では投機によって都市部の不動産価格が高騰しており、
一般市民が住宅を買えなくなっているとして、不動産取引を
制限する法案も同日発表した。文在寅大統領が掲げる格差解消が
狙いだが、野党は反発している。
韓国政府は「分配」重視の経済政策を発表したばかりで、今回の
総所得額が5億ウォン(約5000万円)を超える人の税率を
現行から2ポイント引き上げ、42%にする。3億~5億ウォンの人も
2ポイント上げて40%にする。
資産や所得が一定額以下の人や、中小企業への税制優遇は拡大するが、
富裕層や大企業からの課税強化により、年5.5兆ウォンを捻出する。
また、住宅市場安定法案は、高騰した住宅価格を沈静化させるための
「荒療治」で、ソウル全域を「投資過熱地域」に指定して、
住宅の転売を厳しく制限し、銀行の融資条件も厳しくする。
ソウルのマンション価格は00年比でほぼ4倍に跳ね上がっており、
住宅取引量の44%を既に住宅を所有している人が占めている現状も
指摘されている。
今回の一連の政策に対して、保守系野党は強く反発している。
野党第1党の自由韓国党は法人税引上を「企業の足を引っ張る増税」
と指摘しており、即時撤回を求めている。
全国経済人連合会(全経連)は「保護主義の台頭など不確実性が高い
状況のため、世界的な法人税の引下競争などを総合的に考慮し、
政府と国会で踏み込んだ議論を期待する」と、再考を求めた。
不動産政策について、中道系の野党第2党の国民の党は
「近視眼的な政策で、根本的な問題解決にならない」と批判。
中長期的な対策が必要だと主張した。「持つ者」と「持たざる者」の
対立が根深い韓国で、賛否の議論が激しくなりそうだ。