ICBMエンジンの流出元
流出した旧ソ連製エンジンの改良型が搭載されていた疑惑が浮上した。
ウクライナの政府高官は「エンジンもミサイル技術も北朝鮮に提供した
ことはない」と否定したが、親ロシア派との紛争で混乱が続く中、
何者かがエンジンを闇市場に持ち込んだ可能性は否定できない状況だ。
ミサイルの専門家らは、ウクライナ東部のドニプロにある
国営機械製造企業「ユージュマシュ」の工場が流出元とみている。
ユージュマシュは、1944年に設立された企業で、ソ連時代に
ユージュノエ設計局と協力して、ソ連初の核ミサイルを
製造している。ソ連の核戦略を担った多弾頭ICBM「SS18」も
ユージュマシュによって生産されたものだ。
ちなみに、SS18とは、R-36(DoD番号:SS-9)の派生型である
R-36Mのことであり、「Satan」というNATOコードネームが
与えられている。10発の核弾頭を一斉に地上に落下させることが
できるため、すべての弾頭を迎撃するのは不可能といわれている。
また、その後継である「RS-28 Sarmat」が、クレムリンの指令下で
マキーエフロケット設計局によって現在開発されており、これには
16個の核弾頭を搭載でき、破壊力は40メガトン級(広島と長崎に
落とされた原爆の2,000倍の破壊力)であるといわれている。
ユージュマシュは「ウクライナ独立以降、ミサイルは開発していない」
と訴えているが、ウクライナ危機以降のロシアとの関係悪化によって、
主な取引先だったロシアとの関係を絶たれ、ユージュマシュは経営難に
陥っていたという情報があり、不満を抱く従業員らによってエンジンが
闇市場に売り払われた可能性が指摘されている。