量子力学的な光電流
光電流の発生を、有機分子性結晶であるTTF-CAにおいて
実証することに成功したと発表した。
太陽電池などで使われている光電変換素子は、実用化されているものは、
電子と正孔を分離する過程で、p-n接合構造などによる電界の発生を
必要とする。一方で、空間反転対称性の破れた結晶構造を持つ物質では、
p-n接合を形成しなくても光起電力が発生することが知られていた。
この光起電力は、「シフト電流」と呼ばれる量子力学的な光電流
発生機構で生じるといわれているが、明確な証拠は実験的に
得られておらず、実証に適した物質系も明らかになっていなかった。
今回、同研究グループは、分子性結晶であるTTF-CAに着目し、
分極軸方向に生じる光起電力を測定した結果、強誘電相において
疑似太陽光照射による大きな光電流の観測に成功した。
また、光電流がシフト電流としての特徴を持つことも明らかにした。