温暖化と穀物収量の鈍化
農研機構などの推計により、今世紀末までに上昇した気温が
1.8℃未満の場合でも、食糧需要に対応できないほど、
トウモロコシとダイズの収量の伸びは鈍化することが分かった。
パリ協定には「世界の平均気温の上昇を今世紀末までに2℃未満、
可能ならば1.5℃未満に抑えること」が明記されているが、
この「2℃未満」という数値目標は不十分であることがわかる。
今回、研究グループは「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の
報告書で使用されている4つの温室効果ガス排出シナリオを想定して、
調査では、「RCP2.6」「RCP4.5」「RCP6.0」「RCP8.5」の
4つのシナリオに基づき、産業革命以前と比べた今世紀末までの
気温上昇をそれぞれ1.8℃、2.7℃、3.2℃、4.9℃とした。
推計の結果、低位安定化シナリオである「RCP2.6」シナリオに
基づいて気温上昇を1.8℃に抑えても、トウモロコシとダイズの
収量の伸びは鈍化することが分かった。
また、コメとコムギについては、今世紀末の気温上昇が3.2℃を
超えると収量増加が停滞し始めることが判明した。