医療の地域偏在問題と解消
全国自治体病院協議会など5病院団体は、医師の地域偏在問題の
解消に向けた提言書を、厚生労働省に提出したと発表した。
提言書では、病院や診療所の管理者になる条件として、不足地域で
一定期間勤務するように提案している。また、国の責務を明確にし、
関係省庁が協力できるように検討の場を設置することを求めた。
偏在問題の対策案は、厚労省の有識者会議が年内にまとめる予定。
ちなみに、医療の偏在については、「西高東低」の傾向がみられる。
たとえば、人口10万人あたりの病院ベッド数は、
西日本よりも東日本(東京都や千葉県を含む)が少ない。
人口あたりの看護師数なども極端に偏っている。
なぜ西日本は東日本よりも医療が充実しているのかと言えば、
もともと医学部が早くから設置され、医療機関数も多いことが理由だ。
西日本の医療機関はベッド数に余裕があるため、軽い症状の場合でも
入院治療を勧めやすい。そのため、1人あたり医療費も高止まり
しており、年齢調整後の1人あたり医療費も西高東低の傾向がある。
また、看護師の偏在については、2006年度の診療報酬改定で
「7対1入院基本料」が導入されたことによる影響が大きい。
これは、入院患者7人に看護師1人以上を配置している病院に対して、
一患者あたり一日1万5550円を診療報酬として支払うというものだ。
この「7対1入院基本料」の導入により、看護師争奪戦が始まり、
看護師を確保できなかった病院は病床を閉鎖しているのである。
2016年度の改定で「7対1入院基本料」の基準は厳しくなり、
「10対1入院基本料」への移行も進められてはいるものの、
大半の医療機関は7対1のまま運営しているのが現状である。
さらに高まるため、効果的な対策案を考え出すことが急務である。