空気より軽いエアロアイス
岡山大学は、通常の氷よりも密度が低い氷の結晶構造について、
分子シミュレーションを実施した。その結果、安定な結晶構造が
存在することや、「エアロアイス」の密度には下限がなく、
空気よりも軽い氷も作りうることを発見したとのこと。
氷を圧縮すると、だんだん密度が高くなり、次第に結晶構造が変化する。
冷凍庫でできる氷は氷I(0.92 g/cm3)で、雪と同じ六角形の分子配列を持つ。
これに2000気圧を加えると氷IIIに変わり、約4000気圧で氷Vへと変化し、
約6000気圧で氷VIへと構造が変化する。現時点では、氷Iより高密度な
結晶は13種類見つかっている。
負の圧力で氷を伸長した場合でも、氷の構造は変化すると
考えられており、氷Iよりも密度の低い氷は2種類発見されている。
負圧の氷構造を実験で調査することは極めて難しいため、
今回の研究においては、氷と幾何構造が良く似た「ゼオライト」
という酸化ケイ素無機結晶の構造をもとに、氷の構造を設計し、
分子シミュレーションで安定性を評価し、網羅的に調査した。
調査の結果、ある種のゼオライトの構造をもとに設計した氷は、
現時点で発見されている低密度の氷よりも密度が低く、安定に
なりうることが判明した。また、さらに低密度な氷も存在する
可能性もあるという。
この氷の構造は、「エアロゲル」と呼ばれる酸化ケイ素素材に似ている
ことから、「エアロアイス」と名付けられた。エアロアイスの密度は
0~0.5 g/cm3程度まで低くすることができ、「100xFAU」という
エアロアイス結晶の密度は空気よりも軽くなるとしている。