サムの備忘録

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質量をもたないワイル粒子

東京大学理化学研究所は、質量ゼロの「ワイル粒子」を

強磁性マンガン化合物(Mn3Sn)の内部で実験的に発見した。

また、強磁性体や反強磁性体とは異なる「ワイル磁性体」を

見出したと発表した。

news.mynavi.jp

ワイル粒子は1929年に独物理学者ヘルマン・ワイル氏が提唱した粒子で、

2015年に半金属物質のTaAsから発見された。特殊な量子力学的性質は

バイス開発に利用できるため、世界中で研究が進められている。

 

物質中のワイル粒子は、磁気ワイル粒子と非磁性ワイル粒子の2種類が

存在する。TaAs中からは非磁性ワイル粒子の存在が実証されたものの、

磁気ワイル粒子は今まで発見されていなかった。

 

この磁気ワイル粒子を、研究グループは、反強磁性体であるMn3Sn中で

発見した。Mn3Snで観測される磁気輸送現象や熱電効果の起源は

これまで不明だったが、今回の発見によって、ワイル粒子の創る

巨大な仮想磁場が発現機構に重要な役割を担っていることが判明した。

 

また、Mn3Snは、外部磁場によって磁気ワイル粒子を自在に操作できる

新しい磁性体「ワイル磁性体」であることを、今回の発見は示している。

ワイル磁性体に10mTの磁場を与えるだけで、磁気ワイル粒子が作り出す

100~1000Tに匹敵する巨大な磁場を制御可能であるようだ。

 

外部磁場で制御可能な磁気ワイル粒子はデバイス開発への応用に

不可欠であるので、今回の発見は開発の進展に大きく貢献するものだ。