糖質制限のポジティブな影響
糖質制限にはダイエットに有効であるという科学的証拠はないが、
寿命の延長と記憶力向上には有効である可能性がある。
なお、今回の研究結果はマウス実験によって得られたものであり、
ヒトでは実証されていないため、同じ効果が得られるかは未知数だ。
糖質制限で炭水化物の摂取を断つと、人体の主要エネルギー源である
グルコースが欠乏し、それを補うためにケトン生成が促される。
このようなエネルギー生成のバックアップシステムは、通常は
飢餓の際に働くものだが、長い睡眠の際にも働くことがわかっている。
β-ヒドロキシ酪酸は、このケトン体の一種であり、脳内の経路を調整し、
炎症やフリーラジカルによる損傷を抑制することがといわれている。
このことは、β-ヒドロキシ酪酸には抗老化作用があるという可能性を
示唆している。
これに関して、バック研究所とカリフォルニア大学がマウス実験を
行っており、大豆油とラードを継続的に摂取したマウスは4カ月長生き
したことと、糖欠乏状態のマウスは迷路課題で好成績をあげたことが、
実験結果として報告されている。
マウスとヒトとの間には重大な違いがあるため、
上記の結果がヒトにも適用されるとは限らない。
ヒトのケトン代謝能力は、ほぼすべての動物を上回っており、
たんぱく質・脂肪・糖の消化 / 分解システムはマウスとは
まったく異なる。そのため、ヒトの脳に常時ケトンだけを
供給したとしても、マウスと同じ効果が出るかは未知数だ。