肖像画に隠されたメアリー
スコットランド貴族サー・ジョン・メイトランドを描いた、16世紀
の肖像画をX線で撮影したところ、顔料の下に女王メアリーの下絵が
隠されていたことが判明したようだ。
X線撮影により隠された下絵が発見されたケースは、これまでにも
確認されている。たとえば、ドガやピカソの有名な作品の下にも、
下絵が隠されていたことが判明している。
この時代、上流階級を相手に仕事をしていた芸術家は、頻繁に下絵
を描いていたが、今回のように完成に近い絵が見つかるのは珍しい。
メイトランドの肖像画を描いたのは、エイドリアン・バンソンという
芸術家で、メアリー処刑の2年後に作品を完成させた。下絵を描いた
のもバンソンであると考えられ、メイトランドからメアリーの肖像画
制作を注文された可能性も考えられる。メアリー処刑以降の政治的緊張
から、論争の種になり得る彼女の姿を覆い隠そうと、メイトランドは
自分自身の肖像画を上から描かせたのかもしれない。