瑪瑙の石に彫られた細密彫刻
2015年、ギリシャ南西部で発見された青銅器時代の墓から1400点もの
副葬品が出土した。そのなかの一つである瑪瑙の石から、数千年分の
石灰や汚れを落としてみたところ、見事な彫刻作品が現れたとのこと。
なお、この石は「ピュロスの戦い」と名付けられた。
「グリフィンの戦士」の墓が発見された当時、この石は単なる石の玉
という程度にしか考えられていなかったため、回収後はしばらく保管庫
に放置されていた。しかし、管理作業の最中に彫刻らしきものが偶然
見つかったことがきっかけとなり、米シンシナティ大学の研究者による
石の研磨作業が開始され、表面に彫られた作品の存在が明らかになった。
発見された彫刻について、シンシナティ大学のジャック・デービス教授
はプレスリリースで「理解しがたいほど細かい」と述べている。さらに、
あるインタビューでデービス氏は「これほど精緻な芸術作品は、この時代
からさらに1000年経たなければ登場しない」とも付け加えている。
石が出土したグリフィンの戦士の墓は、ペロポネソス半島のピュロスで、
そこはホメロスの「オデュッセイア」にも書かれているネストール王の
宮殿があった場所とされている。そのため、「オデュッセイア」の基と
なった言い伝えの一場面である可能性もある。