古代犬ショロイツクインツレ
ショロイツクインツレは、アジアからの移住者と共にやってきたと
考えられている、南北アメリカの古い犬種だ。遺伝子の変異によって、
ほとんど毛がなく、前臼歯をもたないという特徴ももっている。なお、
メキシカン・ヘアレス・ドッグと呼ばれることもある。
natgeo.nikkeibp.co.jp犬種名のショロイツクインツレは、アステカの雷と死の神ショロトルと、
イヌを意味するアステカ語「イツクイントリ」の2語に由来する。神話
では、このイヌは生者を守り、冥府の最下層ミクトランに至る危険な旅
で死者の魂を導くために、ショロトル神が創造したとされる。
この無毛のイヌの存在はコロンブスやスペイン人宣教師らによっても
確認されており、宣教師サアグンは、アステカ人がショロを毛布の中
に入れて暖を取る様子を書き残している。これは、ショロの毛のない体
は熱を非常によく伝えるため、湯たんぽのように使われていたことを
示唆している。また、ショロは、具合の悪い人を察知する能力に長けて
いるという。
ショロは食用の家畜でもある。新世界にやって来たコンキスタドールたち
も、手近な動物性タンパク源として目を付けたようであり、絶滅寸前まで
ショロイツクインツレを食べてしまったとのことだ。
なお、1956年にメキシコで公式に犬種として認められた頃には、ショロ
は絶滅寸前の犬種になっていた。しかし、このイヌは絶滅寸前の状態から
復活を遂げており、イヌの毛にアレルギーがある人たちに歓迎されている。