ペロブスカイト太陽電池
東大生産技術研究所の立間徹教授とキム・ギュミン大学院生により、
半透明ながらも約10%のエネルギー変換効率を示す、ペロブスカイト
太陽電池が開発された。窓ガラスなどへの応用が期待される。
news.mynavi.jp従来の半透明ペロブスカイト太陽電池は、不透明な金属電極を薄くする
ことに加え、ペロブスカイト層を薄くしたり、不連続な島状にしたりし、
光吸収を減らしている。そのため、エネルギー変換効率も低下していた。
研究グループは今回、人間の視覚の特性を利用して、エネルギー変換
効率の低下を抑えつつ、太陽電池の半透明化を実現した。具体的には、
アンテナ効果・電極カップリング効果の2つを組み合わせ、人間の視覚
では捉えにくい赤い光のエネルギーをぺロブスカイト層に渡し、長波長
での変換効率を高めている。
アンテナ効果
金や銀などの金属ナノ粒子は、プラズモン共鳴によって特定の波長の
光を吸収するが、吸収されたエネルギーは近くの物質に渡される。
電極カップリング効果
銀ナノキューブは特に強いアンテナ効果を持っており、
電極を近づけることで、吸収する波長を自在に変えられる。
今回のペロブスカイト太陽電池では、銀電極の厚さを光の波長よりも
薄い10nmにし、ペロブスカイト層の厚さも通常より薄い180nmにする
ことで、透明度を高めた。さらに、銀ナノキューブの電極カップリング
効果によって、その吸収域を赤色光付近に合わせ、ペロブスカイト層を
薄くしたことによる損失を抑え、エネルギー変換効率を9.7% に保った。
その結果、視覚透明度指標は28%上昇した。