白鳥のような水陸両生恐竜
モンゴル・ゴビ砂漠で、白鳥のような首と、ペンギンのような前脚を
持つ新種の恐竜の化石が発見された。陸上では二足歩行を行い、水中
では前脚で泳ぐという、水陸両生の恐竜だったと推測されている。
www.asahi.comこの恐竜は、白亜紀に生息した肉食の獣脚類で、体長は推定約80cm。
なお、盗掘された化石をフランスの化石商がモンゴルへ買い戻したという
経緯から、モンゴルにおける恐竜研究に貢献したポーランドの古生物学者
と化石商の両者の名前にちなみ、「ハルシュカラプトル・エスクイリエイ」
(Halszkaraptor escuilliei)と名付けられた。
ハルシュカラプトルのように半水生生活に適応していたと考えられる恐竜は、
現時点ではほとんど知られていない。スピノサウルスも泳ぐことができたと
考えられているが、ほとんどの時間を水中で過ごしていたともいわれており、
ハルシュカラプトルのように陸上を長時間歩けたわけではないようである。
今回見つかった化石で非常に変わっている箇所は、下記の特徴だ。
1. 鼻先の空洞
この空洞には、顔面で圧力を感知するための神経や血管が入っていたと
思われる。今日のワニや水鳥の顔面にも同様の器官があり、触覚を鋭敏
にして、水中で動く獲物を見つけやすくする働きがある。
2. 長く柔軟な首
現在のサギのように獲物の不意をつくのに役立ったと推測。
3. いちばん外側の指
ヒレ足や水かきをもつ動物でよく見られる特徴であるが、
いちばん外側の指が異常に長い。
4.股関節
力強く水を蹴って泳ぐことのできるほどの頑丈な股関節を有している。
以上の特徴は、水中にいる獲物を感知・捕獲するために必要なものだ。
何故ハルシュカラプトルが後肢を放棄しなかったのかという点については、
繁殖のためである。この恐竜は、鳥類やワニのように水の外で卵を産む必要
があったと考えられており、陸上生活に適した後肢を残す動機があったのだ。