サムの備忘録

趣味ネタ、時々社会的なテーマ。IT関連のテーマはもう1つのブログに投稿してます。

バイオハッカー規制の是非

遺伝子編集技術を用いた治療法には、精密な検査による安全確認が何度も求められるので、正式に実用化されるまでには時間がかかってしまう。そのため、待ってられないとばかりに自身で遺伝子編集の人体実験を行う、「バイオハッカー」が少しずつ現れてきているようだ。

www.gizmodo.jp2017年秋には、元NASA科学者のバイオハッカーJosiah Zaynerが、講義中に筋肉の成長を促す遺伝子を自分の体に注射し、その様子を大学のFacebookでストリーミング配信して、大きなニュースとなった。このストリーミング映像の中で、Josiahは「なぜ我々はCRISPRを自分の身体に使わないのか?」と問いかけている。

 

そのほかにも、27歳のソフトウェアエンジニアが「プロトタイプの遺伝子HIV治療」と呼ぶものを自身に注射する様子がFacebookライブ配信されるなど、バイオハッカーは実際に現れ始めている。このような試みは、現時点のアメリカでは規制から逃れられている状況である。なお、食品医薬品局(FDA)の仕事には、自分自身を対象とした行為を取り締まることは含まれていない。

 

このような現状に関して、生命倫理学者のEleonore Pauwelsは「一般人・患者・倫理学者・規制団体でシステムを検討できるプラットフォームを作り上げていくべき」であり、「規制の維持に固執せず、責任と促進を共にサポートするような形を目指すべきだ」と主張している。これまでの当局の規制の歴史を考慮すると、「実験はすべて禁止」というシンプルな結論に達してしまう可能性が高いため、それを防ぐためには関係者を巻き込んでいく必要があるのだ。