サムの備忘録

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科学的にみた場合の善と悪

一般的に、自己犠牲的な精神や寛大さ等の崇高な性質を「善」、自己中心性や破壊的衝動等の性質を「悪」と、人は認識している。これら善と悪に関して、脳科学を通じた研究が米国では進められている。

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1.共感能力と行動

科学的には、善と悪のどちらに対しても共感能力が深く関わっていると考えられている。脳の神経回路の障害によって共感能力の欠如がもたらされた場合、人は悪行を犯す可能性があることもわかってきた。

 

共感能力はゼロ歳児も有していることが明らかとなっている。心理学者マーヤン・ダビドフの研究チームの調査・分析結果では、生後6カ月未満の幼児が他人が苦しんでいる様子を見たとき、多くの子どもが心配そうな表情を浮かべることが確認済みである。なお、1歳を過ぎた頃から、「積極的な無視」と呼ぶ行動を取る幼児も一部存在するとのこと。

 

また、青年期における冷淡さや感情喚起の欠如を測定した研究もある。「悪いことをしたときに後悔するか」などの質問への回答で、「冷淡で感情を欠く性質」のスコアが高くなるほど、頻繁に問題行動を起こしがちであることがわかっている。

2.共感能力は先天的要因で決定するか

幼児期から青年期にみられる「冷淡で感情を欠く性質」は遺伝子の影響であることを示す研究もある。これに対して、反社会的な母親から生まれた子供を愛情深い里親の下で育てた場合には、「冷淡で感情を欠く性質」を示す確率がはるかに低くなることもわかっている。以上のことから、共感能力が遺伝的な要因で左右されるとは言い切れない。

3.サイコパスの脳の特徴

受刑者の脳をMRIで撮影した結果、感情の処理に関係する「扁桃体」の活動は、通常の受刑者よりもサイコパスと判定された受刑者の方が弱いことがわかった。また、サイコパスの受刑者に暴力的な写真を次々と見せたところ、道徳的な問題があることは認識しているものの、道徳的な判断を助ける脳領域の活動が弱い傾向にあることもわかった。これらの調査結果から、サイコパスの脳は扁桃体眼窩前頭皮質などの機能に障害があると考えられる。さらに、その欠陥を補うために、脳のほかの領域を使って感情を処理しているとも考えられる。