サムの備忘録

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マッスルメモリーの存在確認

筋肉の遺伝子には「運動の記憶」が蓄積されていることが研究によって明らかになった。このメカニズムは「マッスルメモリー」と呼ばれる。

wired.jpDNAには「エピジェネティクス」と呼ばれる仕組みが存在し、環境適応のために遺伝子の発現を管理している。なお、遺伝子の発現は脱メチル化、遺伝子の抑制はメチル化によって行われるといわれている。

 

今回は、ヒトDNAにおける85万以上のCpGサイトを分析し、筋力トレーニングの前後におけるエピジェネティックな変化について調査したとのことだ。実験では、筋力トレーニングをしたことのない男性被験者8人(平均年齢27.6歳)に、週3回7週間のレジスタンス運動と7週間の休養の後、再び週3回7週間のレジスタンス運動を行ってもらい、各期間の終わりに骨密度検査・大腿四頭筋の強度測定・筋肉生検を実施した。

 

結果としては、被験者たちが最初の7週間で得た筋肉は休養期間中に元に戻ったが、2度目のトレーニング後、被験者たちの筋肉は最初の7週間よりもさらに大きく肥大したとのことである。また、遺伝子のスイッチにも変化が起きており、最初のトレーニング期間よりも再トレーニング期間の方が、遺伝子の低メチル化が頻繁にみられたとのことだ。さらに、休養で筋肉が落ちた際も低メチル化の状態は維持されていた。このことから、「マッスルメモリー」は遺伝子レベルで存在することが示された。

 

この研究結果をふまえると、ドーピング違反のアスリートの謹慎期間が適切であるかは詳細に調査すべきであるのかもしれない。パフォーマンス向上薬の使用により増強した筋肉は、たとえ謹慎期間を経たとしても、以前の成長を「記憶している」可能性があるためだ。