サムの備忘録

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北米大陸最古のイヌの痕跡

北米最古のイヌのDNAと、現代のイヌ5000匹以上のDNAを比較する調査が実施された。

natgeo.nikkeibp.co.jp約1万年前にコスターに埋葬されていたイヌは、わかっている限りでは、世界ではじめて個別に埋葬されたものである。食肉処理された跡がなく、敬意をもって埋葬されていたことから、イヌが先住民社会で非常に特別な役割を果たしていたことがわかる。

 

なお、現代のイヌは、すべてタイリクオオカミから生まれたが、「いつ」「どこで」「何回にわたって」家畜化されたのかは、まだ議論が続いている。そこで、北米のイヌの歴史を調べるため、コスター犬の遺骸と現代のイヌ両方についてDNA分析が行われたのである。研究においては、遺骨に含まれる71のミトコンドリアゲノムと7つの核ゲノムが解析され、それを5000匹以上の現代のイヌの遺伝的性質と比較した。

 

その結果、太古のイヌたちは、シベリアの共通祖先に由来し、世界中のどの犬とも異なる遺伝的特徴をもつことが示唆された。その遺伝的特徴は現代のイヌにはほとんど残っていないため、16世紀に入植者とともにやってきたヨーロッパのイヌたちに完全にとって代わられたこともわかった。

 

遺伝的痕跡が消えてしまった原因としては、ヨーロッパのイヌがもたらした病気に対して古代犬が免疫を持たなかったり、ヨーロッパ人の入植者が先住民と一緒に古代犬も殺害したりしたためだと考えられる。

 

なお、例外として、可移植性性器腫瘍(CTVT)は古代犬から引き継がれた。伝染性の腫瘍細胞は、交尾を通じてイヌからイヌにうつされるたびに元のDNAのコピーが渡されるため、病気を発症した感染源のイヌの断片が残っているのだ。