ヤドクガエルの神経毒耐性
ヤドクガエルはモルヒネの200倍も強力な毒を蓄えているが、
その毒は自身にはたいして影響を及ぼさない。なぜかというと、
ヤドクガエルの神経系は神経毒への耐性を有しているからである。
毒ガエルは、毒をもつダニやアリを食べることによって毒を体内に
蓄えており、獲物を麻痺させるタイプの毒を使うのが一般的だ。
一部の毒ガエルがもつエピバチジンは、モルヒネのような性質を
有しており、アセチルコリンという神経伝達物質の受容体に結合して、
その正常な働きを妨げる。
今回の研究において、エピバチジンを利用する毒ガエルのDNAの
わずかに変異していることが突き止められた。この変異によって、
毒ガエルのアセチルコリン受容体は、アセチルコリンとは結合するが、
エピバチジンとは結合しないため、自身の毒の影響を受けずに済む
ということのようである。
なお、エピバチジンには、強力でありながらも依存性のない鎮痛効果が
あることが知られており、非麻薬性の鎮痛薬の開発にも期待がかかる。
エピバチジンが結合するアセチルコリン受容体は、ニコチン依存症にも
関わるため、ニコチン依存症の治療薬にもつながるかもしれない。