労働者保護とロボット導入
世界各地で最低賃金の値上げや雇用保護法の強化を求める運動が
行われているが、このような保護の動きは、人間の労働が機械に
奪われることを助長している可能性がある。
2017年8月の全米経済研究所による調査では、最低賃金が上がると、
非熟練労働者が機械によって置き換えられる可能性は高まると
示唆されている。また、事前通知期間の延長や退職金増額などの
雇用保護規則の導入後、人間とロボットのバランスがロボット側に
シフトしたことが、別の調査によって明らかになっている。
wired.jp経済学者のプレジデンテが先進国でのロボット販売数を調査した結果、
雇用者保護が強化された国では、ロボットの配備数が増加していた。
その理由を、雇用者保護の就業規則によって、景気の変化に企業が
対応しにくくなるためだと、プレジデンテは考えている。
経済学者のローダンとニューマーク教授による非熟練労働者に関しての
調査によれば、最低賃金が上がると、「オートメーション化が可能な」
仕事に就いていた高卒以下の労働者が失業する可能性が高くなっていた。
この関係は製造業で特に強くなるという。また、年齢が高くなるほど、
失業する可能性が高まることもわかっており、最低賃金が1ドル上がると、
製造業全体に占める「40歳以上の労働者」の雇用割合が2%近く下落する。
「価値の高い仕事への転向が可能であれば、オートメーションは労働者と
経済全体の両方にとって有益だ」とする一方で、「40歳以上で高卒以下」
などのグループに該当する労働者は「価値の高い仕事」へ転向できる
可能性が極めて低いことを、ニューマークらは懸念している。