二酸化炭素を石に変える
二酸化炭素の分離技術を手がけるクライムワークスと、二酸化炭素を
鉱物化する設備を持つレイキャヴィク・エナジーが、共同で二酸化炭素
回収プログラム「CarbFix」を開始した。このプログラムでは、大量の
二酸化炭素を地下に送り込み、「石」に変えることができるのだという。
このプロジェクトは、地熱発電所から回収した二酸化炭素を、水に
溶かして地下に送り込むというものだ。地下に送られた二酸化炭素は、
玄武岩層に含まれるカルシウムなどと化学反応を起こし、炭酸塩鉱物に
変化する。
二酸化炭素の炭酸塩鉱物への変化は、通常では数百年から数千年の時間が
かかるが、玄武岩層に送り込まれた二酸化炭素は、数カ月で変化を開始し、
2年程度で95パーセントが石化したことが確認されていた。そのため、
二酸化炭素を貯蔵する方法として大きな注目を集めたのである。
また、クライムワークスの商用プラントでは、大気中の二酸化炭素を
回収可能で、平均的なアメリカ人55人が1年に放出する二酸化炭素の量
に値する、年間約900トンの二酸化炭素を処理できる。なお、回収された
二酸化炭素は、近隣の農家に販売されている。
この商用プラントより小規模な二酸化炭素回収装置が、CarbFixプロジェクト
の二酸化炭素貯蔵施設には接続されている。回収装置で二酸化炭素を捕捉
するには、フィルターに含まれる化学物質のアミンを熱する必要があるが、
CarbFixプロジェクトの施設の場合は、地熱発電所から出る温水によって
加熱処理を効率よく行える。
CarbFixプロジェクトは試験的プロジェクトであるため、装置で回収できる
二酸化炭素の量は年間約50トンに限られるが、それでも樹木1000本分の
吸収量に匹敵する。
2019年までに、毎年数千トンの二酸化炭素を回収できる大規模なプラント
をアイスランドに建設したいと、クライムワークスのヴルツバッカー氏は
語っている。また、2025年までに、世界で排出される二酸化炭素の1%を
回収できるようにしたいという大きな目標を抱いている。