栄養不足でも成長する植食者
東北大のミジンコを使った実験により、栄養不足を補うために、
植物を食べる植食者は柔軟な方法をとっていることが分かった。
news.mynavi.jp植物のリン含量は動物と比較して低いことが知られている。そのため、
植食者はリン不足になりやすいと、これまでの研究では示されてきた。
しかし、野外の場合、餌となる植物のリン含量が少なくても、植食者
の成長は必ずしも低下しないこともわかっており、これは生態化学量論
や栄養生態学における謎だった。
今回の実験では、ミジンコを植食者として用いて謎の解明にあたった。
まず、異なる条件で培養した緑藻・珪藻・ラン藻を用意し、これらの
藻類の混ぜ合わせを変え、化学組成の異なるさまざまな餌を作成した。
それらの餌をミジンコに与え、摂食速度・同化効率・成長利用効率を
調査した。
その結果、下記のことが判明した。
・藻類全体のリン含量が低下すると摂食速度が増加する
・植物プランクトンを複数摂食すると、リンとの同化効率が上昇する
・餌が特定の脂肪酸を持つと、リンの利用効率が上昇する
以上の結果から、植食者は食べる量だけでなく同化や利用効率をも
柔軟に変化させ、栄養要求を満たしていることが示唆された。これは、
環境によって植物の栄養成分は変化すること、多種の植物の存在が
動物の成長を支える上で重要であることを示す結果であるとのこと。