サムの備忘録

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安定した合成生命体の誕生

6つの遺伝子コードをもつ半合成生物を安定させることに米国の研究チームが成功した。多量の遺伝情報を安定的に記録可能なだけでなく、転写した人工DNAをタンパク質に翻訳することもできる。

wired.jp地球上に存在する自然生物の遺伝子は4種の塩基の配列によってつくられているが、これらは同数の窒素塩基に対応しており、対になってDNAの二重らせん構造を形成する。これに対して、合成生命体は、6種のコードに基づいて人為的につくられている。このような合成生命体をつくる目的は、遺伝情報に対する記録能力向上と、生物学的プロセスの変化の解明にある。

 

天然のDNAに組み入れることのできる分子が発見されたのは2008年で、2014年には最初の半合成生命体を生み出すことに成功した。これには、XとYで示される2つ窒素塩基とプラスミドが挿入されている。なお、この半合成生命体は1つの問題点を抱えている。それはDNAが不安定ということで、ゲノムは1日しか安定していることができなかった。

 

半合成生命体のDNAを安定なものにするため、研究者たちは、ヌクレオチド輸送体を備えさせることによってDNAの複製を改良し、CRISPR-Cas9を利用して設計し直した。これにより、半合成生命体は、自らのDNA内部でX-Yの人工塩基の対を維持できるようになった。しかし、人工DNAの分子を単に保持できていただけであったため、目的は達成されたわけではなかった。

 

これに対して、今回ロムスバーグが発表した新しい半合成生命体は、改変されたDNAの転写や、6文字の新しいコードの解読、非天然型のアミノ酸を含むタンパク質の合成が可能になっている。これを自然の生命体と比較すると、より多くの遺伝情報を記録する能力をもっている。また、自然には存在しない特徴をもつ新しいタンパク質を生み出すこともできる。応用すると、新しい医薬品の開発において重要な役割を果たせるかもしれない。