サムの備忘録

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人工知能で調合された金属

従来、ものづくりにおける素材選びは科学者の勘に頼ってきた。その作業には何年も時間がかかっていたが、人工知能機械学習を応用することにより、ほんの数日で終えられるようになるという。

wired.jpエアバスは、史上初めて、ブラケットに用いられる金属部品の製造に3Dプリントを採用した。同様にボーイングゼネラルモーターズも、複雑な形状の金属部品を大量に3Dプリントし、新世代の航空機や自動車に利用したいと考えている。

 

なお、金属の粉末を3Dプリントに利用するには限界がある。粉末に含まれる原子を正常に積み重ねられないため、溶接部が脆く、壊れやすくなるのである。その点をふまえた上で、研究グループは、合金の溶接性を高め、3Dプリントに適した素材を生み出そうと考えた。

 

研究に役立ったのは、シトリーン・インフォマティクスが開発した機械学習のソフトウェアだった。これを用いると、1,000万通りの組み合わせのなかから、試作する価値のあるレシピを突き止めることができるとのこと。従来のように研究者の感覚に頼ることなく、効率的に素材開発を行えるのである。

 

実際に研究チームは、このソフトウェアの助けを借りて、1,000万通りのレシピ候補について大部分を除外し、現実的に扱える範囲の100前後に絞り込んだ。通常であれば何年もかかったであろうプロセスであったが、数日に短縮することができた。

 

しかし、シトリーンのソフトウェアがどれほど優秀でも、研究者の専門知識が不要になることはない。このソフトウェアを利用するためには、どのような化学的特性を求めているのかを明確にアルゴリズムに伝えなければならないためだ。「そのためには相当の専門知識が必要です」と、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のキング教授はいう。むしろ素材科学者たちにとっては、蓄積してきた知識を有効に活用できるチャンスであるともいえる。