サムの備忘録

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カエルツボカビの原産地判明

200種を超える両生類を絶滅または絶滅寸前に追い込んだ、生物多様性にとって史上最悪の病原体「カエルツボカビ」の原産地が判明した。

natgeo.nikkeibp.co.jpBdという略称が付いているカエルツボカビが、どの時代にどこから広がり始めたのか調査したところ、1950年代の朝鮮半島であることが判明した。この真菌は、朝鮮半島を起点に人間の活動によって、広範囲に散らばり、北アメリカ・アフリカ・ヨーロッパ・オーストラリアでの両生類の死滅につながったと思われる。

 

今回の研究においては、世界中から集めた177のゲノムが解析され、既に発表されている57の配列と合わせて合計234のゲノムを検討したとのことだ。これらを比較してカエルツボカビの系統図を描くと、特徴的な系統が4つあることがわかった。

 

その4つの中でも、朝鮮半島のサンプルは他のどの地点よりも大きな遺伝的多様性を示しており、原産地だと推測されるとのことだ。さらに、変異率を割り出すと、現在のBdGPLの祖先は20世紀初めにアジアで現れたことが判明した。

 

なお、1950年代に世界中に拡散されるまで、この真菌は周辺の動物と共存していたとのことである。研究者たちは、人間の活動によって、感染した両生類が世界中に広まったと仮説を立てている。例えば、妊娠検査・食用・ペットなどのための輸出や朝鮮戦争などが、原因として考えられる。

 

現在においても、世界規模のペット取引によって拡大が続いているのは明らかだ。研究チームのメンバーが、ベルギー・英国・米国・メキシコのペットショップ等で販売していたカエルを調査したところ、既知の系統が全て検出され、なかには致死性のBdGPLもあったとのことである。

 

ちなみに、なぜカエルツボカビが両生類にとって驚異的な存在であるのかというと、両生類の皮膚は透過性が高いためだ。カエルツボカビは、両生類の皮膚に含まれる蛋白質ケラチンを利用して成長し、皮膚呼吸や体内の浸透圧の調整を阻害するのである。耐性のある両生類もいるとのことだが、感染する可能性のある種は少なくとも695種に上るという。