サムの備忘録

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脳の大型化と生活環境と文化

人間の脳は体に不釣り合いなほど大きく、人体のエネルギーの5分の1を消費するといわれている。また、人間は、脳の容積を増やすために体の発育を犠牲にすることを、進化の過程で選択した。その理由を解明するための研究が行われた。 

www.afpbb.comアウストラロピテクスからホモ・サピエンスに至るまでに、人間の脳は大きさが3倍になったと考えられている。その大型化の対価として、人間の体の発育は遅くなり、他の動物よりも親に依存する期間が長期化したのである。

 

今回の研究で示されたのは、このような人間の脳の大型化は「環境ストレス」によるものだということである。これは、人間の脳の大型化は「人間同士の社会的相互作用の複雑化」によるものだとする通説に対して、異を唱えているものだという。

 

研究においては、数理モデルを用いて、自然現象への対処や食料の確保など、さまざまな環境上の問題が及ぼす影響を測定した。また、個人や集団の間の協力や競争など、社会的な問題が及ぼす影響も同時に測定している。

 

結果として、困難な環境上の問題に直面するほど脳は拡大するが、個人や集団の間の協力は脳の大きさの減少と関連があるということが判明した。さらに、厳しい環境に生息する他の動物よりも人間の脳がより大きくなった理由については、「文化」によって他者からスキルを学習することが可能になったためであるようだ。