サムの備忘録

趣味ネタ、時々社会的なテーマ。IT関連のテーマはもう1つのブログに投稿してます。

Q値の抜け穴の発見

Q値(クオリティ・ファクター)とは、

共振現象を利用するシステムの評価に使われる指標であり、

共振角周波数を振動減衰率で割った値であると定義され、

Q=ω0/Γと定式化することができる。

news.mynavi.jp

Q値が大きいほど、共振角周波数ω0(ω=ω0±γ)は高くなり、

バンド幅Δω(=2γ)は狭くなる。

 

また、減衰率Γはバンド幅Δωに等しくなるので(Γ=Δω)、

長時間振動させようとすればバンド幅が狭くなるという、

トレードオフの関係が成り立つとされていた。

 

このトレードオフ関係はQ値の根本的制約として考えられてきたので、

振動を利用したあらゆるデバイスの設計に取り入れられているが、

今回はそれを相反定理を利用して突破しようとしている。

 

ここでいう相反定理とは、ある領域内に流れる電流密度J1とJ2

2つの電流が、それぞれ電界E1とE2を発生させているとき、

J1・E2を全空間で積分した値がJ2・E1積分した値に等しくなる

という関係のことである。

 

同じアンテナを送信に使っても受信に使っても指向性は変わらないという、

アンテナの相反性(Iab/VaIba/Vb )の性質もこの相反定理から説明できる。

 

研究チームは相反定理が破れた系が存在すると示した上で、

定理が破れた系ではバンド幅と振動時間はトレードオフにはならず、

それぞれの要素を独立に扱うことができることに着目したとのことである。

 

また、時間と周波数にはフーリエ変換の不確定性(Δt・Δω≥1/2)という

別のトレードオフも存在しているが、その関係を保ったまま

相反定理が破れる場合があることを解明した点が、今回の研究のポイントだ。

 

研究チームの主張に基づけば、相反定理が破れた系では、

Q値が極めて高く、減衰率がほぼゼロで、持続時間が無限に近づくような

場合であっても、非常に広いバンド幅をとれるようになるようだ。

削除されてしまった進化論

トルコで、高校のカリキュラムから進化論を完全に削除することが

決まったとのこと。2017〜18年にかけて実施される予定だ。

wired.jp「教師は論争的対立があることをほのめかすような言及は避けるべき」

という理由で、教育当局が決定したということのようだ。

 

教育委員会のアルパスラン・ドゥルムス委員長によると、

進化論にまつわる論争を理解するにあたって必要な科学的な素地が、

生徒に与えられていないことを問題視しての削除ということらしい。

 

知識の補完ではなく、トピックの完全削除を行うというトルコの選択は、

悪手と言わざるを得ないのではないか。

ヤシオウムはリズムを刻む

オーストラリアに生息するヤシオウムは、人間以外で唯一

自作の道具を使ってドラミングを行う動物だという。

 

チンパンジーなども棒と丸太でドラミングを楽しむことはあるが、

演奏のために道具を自作するような行動はとらない。

natgeo.nikkeibp.co.jp

オーストラリア国立大学のロバート・ヘインソーン氏の研究によれば、

ヤシオウムたちの演奏は、繰り返しのパターンや一定のビートなど、

極めて予測しやすいリズムを刻んでいることがわかったとのことであり、

すべてのオスが独自の音楽スタイルを持つこともわかっている。

 

また、演奏をはじめたときには近くにメスがいる場合が多く、

歌や頬の紅潮を組み合わせていることも確認されているので、

このドラミングはメスへの求愛行動であると考えられるが、

メス側にリズムを認知する能力があるかはまだ不明。

 

そのため、不規則なリズムと規則的なリズムに引き付けられるか

などに関しては検証の余地が残っているようだ。

 

ヤシオウムのドラムには独演という特徴もあるが、

この特徴に対してヘインソーン氏は、

「純粋に個体の求愛行動として進化したのでは」と予想している。

 

ちなみに、人間が打楽器で一定のリズムを刻むという能力を

どのように獲得したかは長年の研究テーマとなっており、

チャールズ・ダーウィンも「人が先天的にリズムを好む」ことは

指摘していた。

新しい電子散乱実験装置

理研東北大学立教大学で構成される研究グループは、

不安定原子核を見るための電子散乱実験装置が完成したと発表。

news.mynavi.jp

この装置を用いて、キセノン-132原子核から散乱される電子を観測し、

散乱の角度分布から陽子分布を決めることにも成功している。

 

従来の手法では、十分な数の標的原子核を確保できなかったため、

不安定核で電子散乱実験を行うことは不可能だとされていた。

 

そこで今回開発されたのが、少量の標的核数で電子散乱実験を

実現させるSCRIT法であり、これを電子蓄積リングの中に

作り込むことで、108個の標的核数で電子散乱実験が可能となる。

 

原理としては、標的イオンを電子ビームに沿わせて流し込むと、

自然に電子ビームに引き寄せられるので、静電バリアで前後に

逃げないようにすることで、線状にトラップされるというものだ。

また、電子は標的イオンに衝突して軸の外へ散乱する。

 

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遺伝子一括検査に保険適用

がんゲノム医療について、厚労省は実用化に向けた工程表を発表した。

yomidr.yomiuri.co.jp

工程表では、17年度中にがんゲノム医療の中核拠点病院を全国に

7か所程度指定し、同年度中に遺伝子の一括検査に対して先進医療制度を

適用して、有効性などを確認した上で、18年度中に保険診療を導入する。

 

実施医療機関は19年度以降拡大していく方針で、患者の遺伝情報などを

集約する「がんゲノム情報管理センター」を18年度前半に開設する。

裁判官と書記官の旧姓使用

最高裁は、28日、裁判官や書記官が判決文や令状に

旧姓を使用することを9月1日から認めると発表した。

www.nikkei.com

今までも内部の連絡文書などに限定して認めていたが、

判決文や令状への記載は作成者の戸籍姓に限っていた。

 

旧姓使用は既に多くの民間企業では広まっており、

国家公務員に対しても2001年に認められている。

 

以下は、個人的意見。

 

夫婦別姓を制度化することよりも旧姓使用を一般化することが、

議論の落としどころとして妥当だと思う。

 

伝統的な家族観に縛られた人間とフェミニズムに毒された人間とで、

感情論をぶつけ合っても、不毛な争いにしかならないのだから、

そこに割けるリソースは他の議題で消費する方が有意義ではないか。

エジプト人の遺伝的起源

DNAシークエンス技術によってミイラのDNA解析に成功したようである。

 

温度や湿度、防腐処理のための化学物質など、DNAを劣化させる要因が

多く存在していたため、ミイラのDNA採取は非常に困難だとされていた。

wired.jp

この研究によって、エジプト人は、通商により遺伝子を変化させており、

サハラ以南のアフリカの人々と同一のルーツをもつことがわかった。

 

研究の当初の目的は、アレクサンドロス大王やそのほかの外国勢力による

征服が、エジプト人に対してどのような遺伝的インパクトを与えたかを

解明することだった。

 

しかし、調査を行ったアブシール・エル・メレクにおいては、

ギリシャ人やローマ人による侵略は、エジプト人の遺伝子に影響を

ほとんど与えなかったようである。

 

エジプト人の遺伝子が変化したのはそれよりも後のことで、

奴隷交易などによりナイル川の通商が増加したことが要因となって、

サブサハラ起源の遺伝子が次第に増加したとのことだ。