微生物によるポリマー生産
弘前大学は、 木材の主成分であるリグニンだけを用いて、
ナイロンなどの原料であるムコン酸を生産する微生物の開発に成功した。
将来的な糖質の需要競合および原料の高騰に備えて、
糖質をまったく使わずに、木本や草本などに含まれるリグニン成分のみを
利用して、ポリマー原料を生産する技術の開発を目指したとのことだ。
この研究では、Pseudomonas putida KT2440株を宿主として、代謝関連酵素を
コードしている複数の遺伝子について遺伝子組換えを行っている。
遺伝子組換えを行ったPseudomonas属微生物株は、
G-リグニン及びH-リグニン由来の芳香族化合物をムコン酸生産へと
導くだけでなく、自身が増殖するための代謝経路も保持する。
また、Sphingobium sp. SYK-6株に対しても遺伝子組換えを行っており、
この組換えSphingobium属微生物株も、増殖のための代謝経路と、
芳香族化合物をムコン酸へと導く経路を保持している。
この技術に関しては、4月25日に特許出願が行われており、今後は、
前処理方法の検討や微生物株のさらなる改良を行う予定だ。