ヒト細胞のプログラミング
ボストン大学の研究チームは、ヒト細胞を109通りの
論理演算命令に従うようプログラムすることに成功した。
プログラミングを行った遺伝子回路は、DNA組み換え酵素と呼ばれる
タンパク質を使ってDNAを分解・再構成することで演算命令を実行する。
組み換え酵素がDNA鎖のなかの特定部位にのみ反応することを
利用すると、組み換え酵素が活性化されているか否かを条件として、
細胞に対して自由自在に命令を与えることが可能だ。
この技術を利用し、ある特定のDNA組み換え酵素が
存在しない場合に発光する細胞もつくられている。
発光のタイミングを細かく設定するなどの、複雑な命令も可能なようだ。
生物学的論理ゲートをつくりだした研究者は今までもいたが、
彼らの研究では113個の回路のうち109個がうまく作動しており、
これだけ安定して作製できたのは初めてである。
次なる課題は、異なる種類の細胞のなかで論理ゲートを
作動させることだが、それは容易なことではないようだ。
DNAは電子回路と違って、明確なオン/オフのスイッチが
存在しないからである。
一部の指示は重複してエンコードされている可能性もあるので、
この方法はいつでもうまくいくわけではないようだ。